2022年8月 見直し案が公表されました。海岸林の比率を上げたと市は説明していますが、どのような問題点があるのでしょうか。

湘南海岸公園龍城ケ丘ゾーン整備見直しプランの問題点

1.       駐車場配置と出入口の問題

 今回のプラン見直しは西側駐車場出入口の安全性確保が困難なことと、その原因となった八間通り交差点の改良による公園駐車場出入口の設置が、上り方向右折車線設置が困難であると判断し、この位置の出入口設置案を除外したことにより、袖ヶ浜交差点に公園駐車場出入口を限定せざるを得なくなったために行われたと理解します。ところが八間通り交差点の上り方向の中央分離帯は交差点側で3,850mm、車線間で4,350mmあり、幅員3,000mmの右折車線を設けても1,350mmの余裕があります。上り方向の中央分離帯は緩やかにテーパーが付いており、大磯方向に行くに従って幅が小さくなっていますが、それでも30mのテーパー部と約46mの長さの右折車線が設けられます。右折車線の最低長さは30mと聞いていますが、国道134号線上に設けられたほぼ全ての交差点の右折車線(八間通り交差点、袖ヶ浜交差点、扇の松入口交差点、平塚駅南口入口(なぎさ通り)交差点は各30m、高浜台交差点は120m×2車線、柳島は90m、など)や鵠沼海岸にある湘南海岸駐車場(西部地下駐車場685台(地下325台、屋上360台)、中部地下駐車場362台)も右折車線は30mであることから、比較的駐車台数の少ない龍城ヶ丘ゾーンに設けられる新しい駐車場に入るための右折車線は待機車線では無いため信号制御も併用すれば30mでも十分ではないかと思います。

 事業者側の提案は当初から「用地的制約により、国道134号に右折車線が設置できないため、国道上り線から公園にアクセスできない」という前提で計画案を作成していますが、実際は道路測量図においても現場での実測においても右折車線の設置は可能であり、そもそもの計画の前提が間違っている可能性があります。今回のプランの見直しは、八間通り交差点に出入口を設けた場合も含めて再検討すべきです。

 

袖ヶ浜交差点に設けた場合のデメリット

・敷地(整備対象範囲)の拡大と東側樹林帯(Bエリア樹林地)の大幅な伐採

・擁壁を伴う大規模な造成と地盤整備による建設コストの増大

・ロータリー建設による海岸林伐採のため、袖ヶ浜交差点を経由する海風(潮風)が増加

・下り方向左折車線が設けられないことによる渋滞や事故発生の可能性増加

・平塚市を包括する10km圏内から来園する北側住宅地を経由する交通量の増加

・園地や整備区域内各施設と駐車場の接点(距離)が離れており、サービス車両動線も無い

・国道に面して一般車両の出入口と別に公園管理用車両駐車場の出入口が必要なこと

・駐車場台数を125台から85台に削減せざるを得なくなったこと

・海への眺望は駐車場から遠く離れた特定の箇所でしか得られない。

・まとまりのある園地が確保できず、効果的な利用や賑わいの創出ができない

・見直し案では駐車場計画が不適切(高浜台駐車場など見ると朝一番で満車となり、日中の回転数は少ないため、ちょっと立ち寄り客や買い物客は駐車できない可能性が高い。交差点から駐車待ちスペースに入っても長時間待ちで抜け出せなくなる可能性がある。その代わり出口レーンは不要。

 

八間通り入口交差点に設けた場合のメリット

・プール跡地に限定した整備が可能 

・整備対象範囲の限定による予算の縮減

・海岸環境と景観への影響を少なくすることができ、景観の保全が可能

・海への眺望は容易に確保できる

・まとまりのある園地が計画でき、園地と駐車場の近接した関係が確保できる

・管理用車両も含めて全ての車両の出入りを1ヶ所で管理できる

・左折車線設置により国道上の渋滞と事故の発生を低減できる

・駐車場台数は120台以上確保可能

・北側住宅地への影響を最小限にできる(プール跡地北側は保安林の林帯幅が比較的確保されている)

 

2.       下り方向左折車線の設置

 国道134号線のこの平塚海岸の区間は交通量も多く、大型車両も高速で通行する幹線道路です。交通事故の防止と渋滞防止のために駐車場出入りに際して下り方向左折車線は必要です。袖ヶ浜交差点に駐車場出入口を設けた場合、すぐ手前にバス停があるため左折車線は設けられません。駐車場内に駐車待ちスペースを設けても、駐車場に入るために減速する車両により渋滞は発生します。

 八間通り交差点を改良して駐車場出入口を設ければ整備対象区域のAゾーンであるプール跡地の敷地の国道沿いを提供することにより左折車線が設けられ、渋滞発生や事故の増大を削減できます。また左折車線は箱根マラソンの時に中継場所となります。

 

3.       公募対象公園施設へのサービス動線と駐車場

 公園管理車両のための駐車場は特定公園施設となるが、マルシェ棟とバーベキューレストランのサービス車両の駐車場は公募対象公園施設となり事業者側の負担工事となる。見直し案によると行政側の負担工事による管理用車両の駐車場はあるが、マルシェ棟とバーベキューレストランのサービス車両のための事業者側の負担工事となる駐車場は無いし、サービス動線も無い。どのように考えているのか。

 また見直し案では大型車の駐車スペースが1台分設けられたが、これは提案事業者側の費用負担工事となる。もともと大型バスの駐車場建設費用を負担するくらいなら、団体客はいらないというのがセキスイの判断であったが、見直し案で設けられたのはなぜか。

 

4.       公募対象公園施設の内容と配置について。

 市民のための総合公園を整備すると言いながら、その目玉となる施設がBBQレストラン(見附町にできた焼き肉キングのような焼き肉店)とコンビニ程度の規模しか無いテナントビル(マルシェ棟)、およびそのための広大な屋外駐車場とはあまりに情けない。それほど平塚市民は焼き肉が大好きで焼き肉店を設ければ年間56万人~76万人来園すると思っているのでしょうか。これらの店舗は駐車場から200メートルも離れており、国道や駐車場からも見えないことから利便性が極めて悪い施設配置です。しかも駐車場は有料というので、どれだけ利用者がいるとお考えか。国道134号線沿いには、見附台でも評判の悪い巨大な商業看板が建てられるようですが、風致地区にも指定されている湘南海岸公園の景観上問題ではないでしょうか。

 湘南海岸公園の100年以上に亘る歴史において、このような施設の建設は内容や配置において許されたことが無く、長らく海岸と公園の維持管理に携わってきた県としては、極めて屈辱的な計画です。PFIだからと容易に許されるべきではありません。神奈川県副知事もできるのは焼き肉店ですと話したらギョッとされていました。ほんとうに県が認めるとお考えか。

 

5.       造成工事と擁壁

 駐車場建設のために造成しようとしている東側樹林帯の地盤高さは、測量図によるとプール跡地側通路部分で6.95m~7.19mで、国道134号線歩道面の高さが9.23mであることから、約2メートル以上の高低差があります。すなわち駐車場とビーチライフプロムナードを袖ヶ浜交差点で国道とほぼ同じレベルに盛土を行って合わせるとすると保存対象となる既存樹林帯との間に2メートル近い土留めの擁壁が必要となります。その他の保存対象樹林地との境界も既存地盤面と造成地盤面との間に相当のレベル差があるため、コンクリート擁壁が必要となります。これらの擁壁は特定公園施設となりますがどの程度の工事予算を見込んでいるのでしょうか。また造成と擁壁設置工事のために必要な範囲は、境界から何メートルでしょうか。いずれにしても高低差の激しい土地に盛土と大量の伐根を伴う造成工事を行うには、既存樹木の保全は難しく、ほとんど皆伐にするのではないかと危惧します。

 プール跡地の凹地に関しては、盛土のための大量の土砂(建設残土/廃棄土、25,100立方メートル+10,000立方メートル(サーチャージ分))の調達は、金を払っても捨てさせて欲しいという業者はいくらでもいるので問題ないと前都市整備部長はおっしゃっていましたが、設置予定者選定委員会委員が理事長を務める神奈川県都市整備技術センターの資料によると、1立米当たり3,000円前後のようですが、1億円程度の残土受入にともなう収益はだれが受領するのでしょうか。またプール跡地に汚れた建設残土を受け入れることに県は了解するでしょうか。また造成工事は特定公園施設の建設ですが、工事の発注において造成に使用される土砂の品質は民間事業者ではなく行政側で指定し確認するのでしょうか。

 保存対象とする既存の樹林地と駐車場やビーチライフプロムナードの間に2メートルのレベル差があると、コンクリート擁壁を設けなければ境界から4メートル程度が造成による土砂で埋もれて樹木は保存されない。保存対象とする既存樹林地の面積は大幅に減少してしまいます。

 

6.       スポーツフィールドや芝生広場は何のため。特定公園施設か有料の収益施設としての事業者提案施設か。

 芝生広場等が計画されていますが、平塚新港に整備されたしおさい広場をみると、芝生広場が整備されていますが、いつ行っても誰もいないし使われている形跡は全くありません。そのためか雑草が伸び始めていてすぐに荒れ果てた状態になりそうです。鵠沼海岸の湘南海岸公園内にある芝生広場も、ほとんど来園者に使われておらずたまに犬を連れて散歩に来た人のドックランになる程度です。公園というと芝生広場を整備するのが当たり前のようになっていますが、果たして龍城のこの場所に芝生広場を整備して市民に使われるでしょうか。

 またスポーツフィールドが計画されていますが、これはいったいどのような内容と使われ方を想定しているのでしょうか、特定公園施設として行政の負担で整備されるのであれば、市民に公開されて無料で使用されるようにすべきです。

 たしかに特定公園施設として建設されたものだから使用料を徴収して収益を上げてはいけないと言うことはありませんが、例えば鵠沼海岸にあるスケボーパークのようにして子供から100円程度の使用料を得ても事業としては全く成り立たないでしょう。

 

7.       津波避難施設の問題点

 エントランス棟の屋上には車椅子の人もスロープで上れる計画であったが、スロープが無くなり階段になってしまった。ビーチに設置された津波避難タワーでも車椅子の人はどのようにして避難させるのか議会でも問題になったが、今回もこれで解決できなくなってしまった。

 また今回の津波避難施設は鉄筋コンクリート造と推察しますが、ひらつかビーチパークに設置された津波避難施設は鉄骨のフレームだけの構造物でありながら平塚市の設計金額は2億3,624万円程度でした。ところが今回の津波避難施設は壁や内装、建物設備もある割高な鉄筋コンクリート造の建物でありながら、1億7,600万円としています。果たしてこの金額でできるのでしょうか。

 

8.       Park-PFIとしての費用負担

 PFI事業というのは、基本的には民間資金の活用を図って行政の負担を低減するのが目的であるはずですが、今回の事業では、民間の負担が1割で行政の負担が9割となっており、さらに毎年指定管理料として業者に対して公園の維持管理費用が支払われることになっています。この比率はPark-PFIが適用されるぎりぎり最低限の民間側の負担ですが、ここまで民間事業者を優遇するようであればPark-PFI事業としての本来の目的が失われているのではないでしょうか。

 

9.       基本的条件の変更は公共調達おける入札に関する法令に違反している可能性がある

施設規模の変更や駐車場台数の変更など要求水準の基本的事項の変更があるのであれば、調達の手続をやり直す必要があるのではないでしょうか。これは議会で公明党議員の質問に対して答弁されたPFI法と都市公園法の違いではないと思います。

 


2021年3月 市民の8,000筆を超える海岸林伐採をしない方向で計画を見直す署名や、平塚市の意見公募に対する市民の声を根拠に行政側の答弁にはウソがあると問い質した議員に対して、落合市長は市議会議長に申し入れて懲罰をかけると脅して発言を封じるという前代未聞の暴挙に出ました。はたして落合市長の説明にウソはないのでしょうか。

検証しましたのでこちらをご覧下さい→落合平塚市長の20のウソ


2021年1月 市民の会から、湘南海岸公園龍城ケ丘ゾーン整備・管理運営事業に関する意見書が公表されました。

こちらに掲載しましたのでご覧下さい → 市民の会意見書


2020年7月 湘南海岸公園龍城ケ丘ゾーン整備・管理運営事業 市民意見募集の結果(概要版)が公表されました。

平塚市からの回答も含めて、その内容を検討していきましょう。

こちらに掲載しましたのでご覧下さい → 市民意見募集の結果に対するコメント


2020年1月29日 設置等予定者候補事業者側の提案が公表されました。

提案の内容を検討していきましょう。

問題点と思われる箇所をひとつひとつ指摘してみます。

市民を欺く大規模な海岸林の伐採

2020年2月26日 神奈川新聞にも取り上げられました。→反対派「市民欺く」樹林帯の伐採

平塚市の説明と → 実態はどうなるか

樹木はできるだけ保存する → 凸凹の土地をブルトーザーで整地するためほとんど伐採せざるを得ない。

伐採した後は植樹する → 植樹した樹木が役に立つ程度に育つには事業期間終了後まで20年以上かかる。

             その間は、周辺住民は被害を受け続けることになる。

 平塚市は、樹木の保存も開発による地域住民への飛砂・塩害・暴風等の被害軽減も、防災も公園管理者となる民間事業者が行うだろうと、今から既に責任を転嫁していますが、果たしてそれで良いのでしょうか。

 平塚海岸の樹林帯を伐採しないよう、現行の事業計画の見直しを求める市民や県民から約8000筆の署名が提出されています。しかしながら平塚市側は「署名は市が事業者提案を公開する前に、大規模商業施設などの建設に反対して提出されたもの」と勝手に解釈して、だから市民からの要望意見は既に無効であるというように問題点のすり替えを計っています。市民からの要望はあくまで「海岸林の伐採をしない」ことを求めています。

 市民は、40年近い歳月をかけてようやく生育してきた海岸林をこれからも次世代に残すために、その保全を訴えていますが、平塚市の都市整備部長は「樹木が繁茂し昼なお暗く人が気軽に入れない」「将来の世代のためにもあのままの鬱蒼とした樹林帯でいいのか」とまで発言しています。そして平塚の海岸を訪れる人々のためには、大規模な駐車場や売店などの便益施設をつくり、海岸林は保安のためにも見通しがきくほどに伐採すべきだと主張しています。それにもかかわらず、事業者側にはできるだけ既存の樹木は保存するように、造成して伐採した場合は代替の樹木を植樹するように、近隣の住宅街には飛砂や風害などが現状より悪くならないように要求しているから大丈夫だと述べていることに大きな矛盾が見られ、責任回避の姿勢が明らかです。

龍城ヶ丘東側樹林地に10年以上前に神奈川県土木事務所の職員により植樹された松と広葉樹(2020年撮影)。この周辺だけでも20本以上植樹されている。平塚市の今回の計画では、県職員により植樹されたこれらの樹木もすべて容赦なく伐採される予定だ。

松風南公園に植樹された松

(2013年11月 植樹直後に撮影)

松風南公園は平塚海岸から700メートルの住宅地内にある。公園内の松の木等が大胆に伐採剪定されたために、地域住民の要望により平塚市が植樹した松。

松風南公園に植樹された松(2020年3月 植樹後6年半後撮影)

松の高さ:3.7メートル、幹の直径:15 cm、幹周り:45cm

途中で剪定は行われておらず、6年間の成長は30cm程度。支えの竹は腐って曲がっている。


 上の航空写真は1980年頃の龍城ヶ丘プールとその両側の敷地で、茶色く造成された部分がそのまま今回、平塚市が開発しようとしている整備対象範囲です。この当時は、神奈川県が公園とすべく造成整備しましたが、植林も県によって広範囲に行われ、現在のような緑豊かな海岸林による樹林地になりました。ところが平塚市は、40年かけて育ってきたこの海岸林を、うっそうとして昼なお暗く気軽に入れないとして伐採して、実質的にもとのこのような状態に戻そうとしているのです。民間事業者が管理するのは最長で20年間ですから、一度伐採すると20年では海岸林は十分に生長できません。平塚市はなぜ、このような失敗を繰り返そうとしているのでしょうか。20年経てば、現在この計画に携わっている担当者も市の責任者もいなくなりますから、利権を守って現時点での利益を得ようとしているだけで、将来の次世代の人々のことを考えて行動しているようには思えません。


 平塚市の都市整備部長は、たびたび議会などで東側の樹林地をうっそうとして昼なお暗く人々が気軽に近寄りがたい荒れ果てたところと批判していますが、実際には育ちつつある海岸林は飛砂や暴風から国道や住宅地を守り、また樹林地の中にはこんなに明るくて海が一望に見渡せる素敵な展望台もあります(下の航空写真の樹林地帯の中間地点に見える)。しかしながら今回の計画では、この場所も造成されて展望台は撤去される予定です。

赤線枠内が平塚市が計画している整備対象範囲。黄色枠内が追加の駐車場やコンビニ施設建設のために拡張された範囲。現状は海岸林が成育中で30年程度経過しているが、せっかく育ってきた海岸林の70%以上を開発のために伐採しようとしている。

積水ハウスグループが提出し平塚市の選定委員会で選定された計画案を当該地に当てはめてみると、40年の歳月を費やして成長した貴重な海岸林の過半が伐採されてコンクリート舗装の駐車場にされてしまうことが良くわかります。

100年以上の松林

花水川河口の海岸松林

(昭和10年頃撮影)

100年以上の松林

高浜台にあった杏雲堂病院構内の散策路

(昭和12年頃撮影)

100年以上の松林

松風町緑地

(平成26年)

60年以上の松林

龍城ヶ丘保安林

(昭和53年保安林指定)


海岸林クロマツ苗の植樹風景

平塚市須賀海岸

(昭和5年撮影)

10年未満の植樹松

藤沢市辻堂西海岸

(昭和41年撮影)

20年程度の植樹松

龍城ヶ丘東側緑地内

(平成30年撮影)

40年以上の松林

袖ヶ浜保安林

(平成2年保安林指定)




 事業者側が表明する最低レベル8.4メートルまでプール跡地の凹地を埋め立てるとすると約20,500立方メートルの土砂の投入が必要となります。これは大型10トンダンプトラックで約3,700台分の土砂です。国道134号線と同じレベルの約9.0メートルまで埋め立てるとすると、約25,100立方メートルの土砂の投入が必要となります。これは大型10トンダンプトラックで約4,500台分の土砂です。それに加えて、圧密沈下のためのサーチャージを行うためには、さらに10,000立方メートル、大型10トンダンプトラックで約1,800台分の土砂の積み上げが必要になります。東側Bゾーンの樹林帯を伐採して造成する場合は、さらに500台分程度の土砂の搬入が必要となります。

 これだけ大量の土砂はどこから調達して運ばれてくるのでしょうか。土砂の搬入のために約6,000台の大型ダンプトラックが平塚市内を走り回ることになります。

この写真は近隣の大磯港桟橋が大量の土砂置場になっている現状です。これらの土砂は船でどこからか運ばれてきて、大型のダンプトラックでどこかへ運び出されています。土砂の種類別に分類されていますので、単なる建設残土などではないようですが、建設残土の処分は現在の日本において大きな社会問題になっています。

大磯港桟橋に大量に野積みされた土砂が、大型ダンプトラックで運び出されています。


 平塚市都市整備部長は、土砂は金を払ってでも捨てさせてほしいという業者はいくらでもあると発言していますが、建設残土や除染により発生した汚染土の処分は大きな社会問題となっています。都市部で発生した大量の建設残土やリニア新幹線の工事で発生する建設残土は、JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス「土がくる-規制なき負の産物の行方」で取り上げられたように、地方に船やトラックで運ばれ山林や谷地に捨てられて深刻な環境破壊が発生しています。さらに福島原発の放射能除染により発生した汚染土も公共工事で使用できるようになりました。建設残土には産業廃棄物等が混入している可能性が高く、そのような土砂が龍城ヶ丘に投入されれば、自然な海岸の砂丘が汚染されることになります。現に、袖ヶ浜の既存樹林地の盛土からはプラスチックゴミも出てきました。無料だからと言って、そのような汚染土を龍城ヶ丘に運び入れてはいけません。

 今回、設置予定者選定委員会の委員を委嘱された神奈川県幹部職員OBは、このような建設残土の受付の窓口業務を行っている「公益財団法人神奈川県都市整備技術センター」の理事長です。上の写真の大磯港桟橋の大規模な土砂置場もこの「公益財団法人神奈川県都市整備技術センター」が建設残土の受入地として整備運営業務などの管理を行っています。その関係で、龍城ヶ丘のプール跡地の大量の土砂埋立に肯定的な立場であることは当然のことですが、そのような立場の利害関係者を計画案と請負業者を決める委員会の委員にするべきではありません

 平塚市と日本総合研究所は、事前の調査報告書でこの埋立造成工事の費用を2億円と試算していますが、実際の工事費は汚染された建設残土などを使用しなければ、4億円程度になる可能性があります(龍城ヶ丘ゾーン公園整備事業における官民連携事業手法検討調査報告書47P_平塚市・日本総研_平成30年3月)。また、既存プールの解体に平塚市の工事単価を当てはめると約3億円程度となります。いずれも市民側提案の立体的開発計画を採用すれば、不要あるいは大幅に低減できる無駄な工事です。

龍城ヶ丘プール跡地東側樹林地の地盤調査結果(平塚市)

 東側樹林地は2~4メートル程度の盛土がされており、ふわふわな地盤なので建物はおろか駐車場の舗装にも適さない。そのまま舗装すると不同沈下や雨水による浸食ですぐに亀裂が入ったり凸凹になって補修が必要になったり使えなくなったりする可能性がある。建物を建てる際には、深い位置まで基礎杭を打ち込むことが必要で、その分工事費が高くなる。


 平塚市が作成した要求水準書には下記のように条件を付けて あります。

 (2)国道 134 号の道路改良 ・ 国道 134 号から駐車場への車両の進入に伴う道路形状を含めて計画すること。

  ・ なお、1 か所の交差点改良に必要な一般的な整備費用を市は負担するが、2 か所 の交差点改良を行 うなど施設計画が原因で通常以上に必要となる道路施設の整備は認定計画提出者の負担とする。

 提案事業者は、駐車場出入口を設けるための交差点改良工事が事業者側負担となることを避けるために、敢えて危険な位置に駐車場出入口を計画していますが、これは公園利用者の安全より も投資金額を最小化し収益を高めることを優先する姿勢を示しています。これは利益を追求することを最大の目的とする民間企業としては当然のことですが、公共事業で有りながら、市民の安全や利便性よりも、あくまで事業者側の収益を優先するPFI事業の問題点です。はたして平塚市はどう対応するでしょうか。

平塚市は「平塚市の考え方」を示しながら、道路管理者と協議を行っておらず、全て提案する事業者側の責任に転嫁している。


2020年3月市議会で続く問題発言

・平塚市議会議員(清風クラブ)からは、事業者側計画案をコンパクトになった案として評価する発言がありましたが、コンパクト(規模縮小)になったのは事業者側がその整備費用を負担するマルシェ棟やカフェ棟などの建物のみで、基本的に平塚市が9割の費用を負担する駐車場や園路、津波避難施設などの特定公園施設はむしろ整備費が1.5倍~2.0倍程度増える案となっています。すなわち、民間資金の活用を図るというのがうたい文句のPFI事業でありながら、民間事業者の負担は三分の一程度に縮小し、平塚市の負担は最大2倍程度増えるという計画です。民間事業者から見ると、事業リスクの90%は平塚市側に負担させながら、民間事業者が特命で受注する建設工事の請負金額だけは大幅に増やして短期的利益を得ることができるようになっています。コンパクトな計画にするのであれば、事業者側負担の建物だけではなく、平塚市側負担となる公園の面積も縮小すべきです。

・この平塚市議会議員の質問に対して都市整備部長から回答がありました。24時間営業のコンビニに関しては、特に夜間の騒音対策、風紀対策は事業者側で対策をとるだろう、塩害や暴風のシミュレーションに関しても、契約後に事業者側で調査や検証がなされるであろうという回答です。すなわち平塚市は事業者側に要望はするが指導はせず責任もとらない、周辺住宅地に対する被害のシミュレーションも加害者側になる事業者にお任せで、平塚市もしくは平塚市が委託する第三者機関に客観的な調査を依頼することはない、ということです。

 事業者側が建物の建築面積を要求水準書の2,500㎡から約1,000㎡に縮小 したのは、万が一東側隣接の樹林帯の占用許可が下りなかった場合でも、プール跡地の面積約9,000㎡だけで建設可能な面積にすることにより、リスクを回避するのが目的です。平塚市側の基本協定書では、東側樹林地の占用許可を取得するのは、平塚市では無く、なんと事業者側の責任となっていますが、平塚市が責任を負わないような事業であれば神奈川県が許可しない可能性があるからです。県の許可が取得できなければ、東側樹林地まで規模を拡張した開発は出来なくなりますが、その際は平塚市側は責任を負わないように逃げを打っており、それに応じて提案事業者側も被害を最小化する手段をとったということでしょう。

 基本協定書の条文には下記の通りとなっています。

2. 乙(計画案提出の民間事業者)は、公募設置等指針並びに公募設置等指針の規定に従い乙が甲(平塚市)に提出した公募設置等計画及び付随する一切の書類(以下「公募設置等計画等」という。) を基に、甲のほか、海岸管理者、交通管理者、道路管理者、下水道管理者及び公園管理者と協議を行う。

 すなわち、東側樹林地の占用許可を得るために海岸管理者(神奈川県)と協議するのは、平塚市ではなく事業者だと言う ことです。これでは事業者側もリスクを最小化するために逃げを打つわけです。平塚市は徹底して、海岸防災等についての責任を回避しています

 整備事業費は、平塚市の目論見を大きく超える可能性がありますが、それはだれが負担することになるのでしょうか。結局は平塚市が税金で補填することになる可能性が高いですが、名目上事業者側が負担するように見せることもできます。事業者側は、公園整備の80%以上を占める特定公園施設の設計、工事、維持管理を独占的に請け負うことになりますが、造成工事を含めて公園施設の設計も委託されるので、その内容は、工事を請け負う事業者側の利益が最大になるように決定することが可能なため、実質的な工事費を大幅に下げながら利益を最大化することが出来るからです。


設置等予定事業者側提出の計画案CGに見る問題点

海側からの全景鳥瞰図とありますが、東側駐車場の全体が意図的にカットされて見せないようにしています。

緑がたくさんあるように描いてありますが、実際は敷地の約40%が広大な屋外駐車場です。

 海岸の樹林帯を切り開いて広大な駐車場をつくる計画案が示されていますが、市民側提案の代替案であれば、プール跡地の凹地を活かして完成後は完全に見えなくなる地下駐車場をつくり、その屋上を開放的な広場とすることができます。すなわち既存の海岸林は一本も伐採すること無く、自然な景観を阻害すること無く、安全で快適な管理された駐車場をつくることができます。神奈川県も採用するそのような駐車場のかたちを、なぜ平塚市は検討もしないのでしょうか。そこに今回の海岸整備の大きな問題があります。

 東側樹林帯を切り開いてつくる施設は広大な駐車場と24時間営業のコンビニです。コンビニは鉄筋コンクリート造の平屋建てですが、屋上が津波避難場所を兼ねているため、その建設費には平塚市の税金が約4億円程度当てられます。平塚市は貴重な海岸林を切り開いて、コンビニや駐車場をつくることが平塚市の経済を活性化し、イメージアップになると本当に考えているのでしょうか。

 鎌倉七里ヶ浜にあるコンビニは、夜な夜なバイク愛好家(一部は暴走族)の溜まり場となって、騒音問題をおこし、花火を打ち上げるなどして騒いで、地域住民が近寄りがたい雰囲気になっています。平塚市は、コンビニを運営する事業者が適切に管理するだろうと今から責任を転嫁していますが、暴走族でもコンビニにとっては貴重なお客様です。

その屋上が津波避難施設を兼ねたエントランス棟の上空から見た西側の様子です。芝生広場が広がり緑がたくさんあるように見せていますが、実際はこの視点位置から後ろは、広大なアスファルト舗装の屋外駐車場です。また中央のマルシェ棟に隠された後ろ側は、同じくアスファルト舗装の広大な屋外駐車場です。すなわちこのCG絵では、敷地の約40%を占める広大な駐車場を意図的に見せないように描いています。

積水ハウスグループの提出案の全体イメージは上の合成図の通りですが、平塚市が広報ひらつかなどで市民に向けて公表したイメージでは、半分から上側の緑が比較的多い部分しか描かれておらず、手前半分の広大な駐車場は意図的にカットされています。市民を欺く意図的な印象操作を行いながら誘導的な設問によるアンケート調査を行いましたが、本来であれば平塚市は公平公正な立場を維持して市民に対して正確な情報提供を行う責任があるはずです。

 左が鉄骨テント膜構造と思われるマルシェ棟の内観図、右が海側に大きなガラス窓のあるカフェ棟の内観図です。このような構造では、昨年の台風19号程度の風雨で、破壊的な被害を受けた西湘バイパス国府津PAの建物のように、屋根は吹き飛び、窓ガラスは割れて建物がめちゃくちゃになります。またテント膜構造は本来、新国立競技場や東京駅八重洲口の大屋根、高輪ゲートウェイ駅舎のような大規模半屋外施設の屋根に用いられる構造で、このマルシェ棟のような小規模平屋建てで密閉された屋内空間に用いられると、太陽光が半透過膜を通して降り注ぎ、とても明るい空間となりますが、室内の温度が温室並みになり、空調も効かなくなります。また降雨時は太鼓を叩くように雨音が響き渡り、室内では会話も出来ないほどの騒音となりますので、全く不適当な計画と言えるでしょう。鉄板葺きの軽量で簡易な屋根とするとこの絵のような均質で明るい天井/室内とはなりません。屋根裏空間が無ければ遮音や遮熱の問題があります。

 実質的にこの2つの建物だけが事業者側の提案施設で、その建設費を負担するわけですが、その投資額は公園全体の整備事業費の10%程度で、その他約90%は平塚市の負担です。この2つの建物は20年後には取り壊し、更地にして平塚市に返還されますので、せいぜい20年もてば良いような鉄骨プレハブに準じた安普請の建物となりそうです。すなわち、この公園の整備と維持管理に関する費用と運営のリスクは、民間資金の活用を目的とするPFI事業といいながら、ほとんどすべて平塚市が負うことになります。いったい何のためのPFIでしょうか。


なぜ平塚市は、隣接する東側海岸樹林帯まで開発を拡張しようとするのでしょうか。

1.落合市長の政策公約であり、選挙で選ばれて信任されたので公約を実現する義務があると考えているから。

2.PARK-PFI事業として実施して国から補助金を得るには10億円以上の整備事業とする必要があり、既存のプール跡地だけの整備では10億円にはならないと考えているから。

3.都市計画公園である湘南海岸公園内に道の駅的な大きな建物を建てるには、建坪率による建築面積制限があることから、できるだけ敷地面積を大きくする必要があると考えているから。

4.規模を拡張して且つ平塚市側の負担割合を大きくしないと、参加する民間事業者の採算性が見込めず、参加企業が無くなると考えているから。

5.もしかしたら年間70万人以上の来場者があり、それに見合った広大な駐車場が必要になるかもしれないと考えているから。

6.自然の海岸林による砂防林よりも、商業施設や駐車場があった方が便利で良いと考えている地区外の市民が多いと考えているから。

7.砂防林を伐採しても、さほど塩害や飛砂の被害は拡大しないと考えているから。

8.県が整備した「しおさいの森」は、昼なお薄暗く治安上も問題であまり利用されていないと考えているから。

熟慮なく不適切な公約は、むやみに実行すべきでなく、きちんと検証して見直されるべきです。

 落合市長が2019年4月に公表した政策公約(落合かつひろ3期目の約束)では、「ビ ーチパークと龍城ヶ丘海岸に津波避難施設を整備し、県内一安全な浜辺をめ ざします。」と表明されています。落合市長は粛々と公約の実現を図っていますが、高浜台湘南平塚ビーチパーク内に建設中の津波避難施設はどうなっているのでしょうか。

 建設中の津波避難施設は、既存のビーチセンターに隣接するバスケットボールコートをつぶして建てられていますが、既存のビーチセンターの建物(下図右側)を津波避難ビルに指定して必要な改修を行えば、新たに隣接して津波避難施設を建てる必要は全くありません。既存のビーチセンター2階には可動パーティションで仕切られた倉庫を含めれば約60平方メートルのラウンジがあり、避難の歳には余裕で100名は収容できます。2階のレベルも海抜11.4メートルで、平塚市が想定する最大津波高さ9.6メートルより1.8メートル高く、屋内であることから十分余裕があります。現在建設中の津波避難展望台とほぼ同じレベルです。問題点としては、階段が1箇所しかないことですが、北側バルコニーに屋外通路+屋外階段を設ければ、若干の改修工事で解消できます。また、営業時間帯外の扉の施錠に関しては、地震時や津波警報に連動した自動解除装置の導入などで解決できます。建物の耐久性も、20年も経てば錆で腐食する鉄骨フレーム造の津波避難展望台よりはるかに堅固な鉄筋コンクリート造ですから、津波の際に船などの漂流物が流れてきても安全です。

 もうひとつ大きな問題は、湘南海岸公園は神奈川県が管理している都市公園ですから、鵠沼海岸に建てられた津波避難タワーも大磯海岸に建てられた津波避難タワーも県がその建設費を負担しています。ところが、ビ ーチパークと龍城ヶ丘公園整備予定地は平塚市が神奈川県から占用許可を得て管理している公園なので、平塚市がその建設費の全額を負担しなければならなくなります。そして、平塚市が計上した建設予算は、同規模で同内容の構造である鵠沼海岸に県が建てた津波避難タワー(各社の報道によると3,500万円)の6倍以上の金額です。デザインもいわゆる看板建築で、自然が豊かで美しい平塚海岸の景観を大いに損ねるものです。落合市長はその公約を唯々実現するために、市の予算約2億円を使って、重複して無駄な施設を平塚海岸につくろうとしています。そしてさらに龍城ヶ丘でも市の予算を無駄に使って海岸林を伐採し、合理性のない駐車場建設とコンビニ兼用の津波避難施設をつくろうとしています。

建設中のビーチパーク津波避難展望台(鉄骨造)

設置地盤高:海抜8.38 m

避難プラットホームの標高:海抜12.12 m

(設計水位+2.00 m)

避難プラットホームの広さ:60 ㎡

収容人数:100人、

想定津波高さ:9.6 m(余裕:2.5 m)

工事費:2億3,624万円(設計金額) 

1億8,000万円?(入札金額)

発注者:平塚市

鵠沼海岸津波避難タワー(鉄骨造)

設置地盤高:海抜7.5 m

避難プラットホームの標高:海抜12.5 m

構造物の高さ:5.0 m

避難プラットホームの広さ:50㎡

収容人数:100人

想定津波高さ:10.7 m(余裕:1.8 m)

工事費:3,500万円(各社報道による)

(工事費の半額は国からの補助あり)

発注者:神奈川県

湘南平塚ビーチセンター(RC造)

設置地盤高:海抜8.38 m

2階の標高:海抜11.40 m

(設計水位+1.28 m)

2階集会室+倉庫の広さ:約60㎡

収容人数:100人、

 

想定津波高さ:9.6 m(余裕:1.8 m)

工事費:???

発注者:平塚市


平塚ビーチパーク津波避難展望台見学記

 完成した平塚ビーチパーク津波避難展望台を見てきました。西側伊豆半島方向の眺めを期待していたのですが、目の前に無粋な電柱が立っていて写真も撮れません。富士山は見られない位置ですね。屋根があるのは日差しを遮るのに役立ちますが、それほど長くいる場所ではないしむしろ開放感を損ないます。床が天然木であれば雨などで腐朽するのを遅らせるでしょうが、人工木材の床板でした。砂浜から見ると「Shonan Beach Park」と大きく書かれていて看板の役割を果たしていますが、こんなセンスの無い看板屋根が無ければ海岸林を背景に風景に馴染んでずっと品の良い景観が維持できたのに残念です。

 そもそもこんな津波避難展望台は必要なのでしょうか。隣にはもっと丈夫なRC造2階建てのビーチセンターの建物があり、2階には今回の津波避難展望台とほぼ同じ広さのホールがあります。現在は半分物置となっていたりして有効に使われていませんが、多少の改修を施してビーチハウスを津波避難ビルに指定すれば、今回の津波避難展望台を建てる必要は無かったのではないかと思います。何のために1億6千万円(平塚市の設計金額は2億3,624万円!)も使って建てたのか大いに疑問です。ちなみに神奈川県が鵠沼海岸に建てた津波避難施設はほぼ同規模同構造ですが3千5百万円でできたそうです。

 神奈川県の津波避難看板によると、この場所は海抜8.38メートルあって津波浸水エリアではありません。わざわざ津波避難施設に上らなくてもこの場所まで避難すれば安全だと神奈川県は言っています。平塚市長は数千年に一度あるかもしれないL2クラス9.6メートルの巨大津波に安全な海岸にするのだと言っていますが、地震発生後3分以内で到達する相模トラフ西側の9.0メートルの津波に対してはあまり役にはたちません。数十年から数百年周期で発生する津波は2.0~6.9メートルですから、過剰に強固で高価な津波避難施設を1箇所建てるより、茅ヶ崎市のように木造でも安価な津波避難施設を2分以内で避難できる距離に複数建てて、数十年ごとに更新する方がずっと効果があります。今回建てた高価な鉄骨造の津波避難施設も50年もたてば錆びてボロボロになり、100年ももたないでしょう。

なんでこんなものを建てたのか。ただ単に市長の選挙公約だからと熟慮することなく実行したとしか思えません。龍城ヶ丘プール跡地東側海岸林の駐車場化と同じで、間違った公約を実現するだけの税金の無駄遣いです。さらにお知らせ看板によると、建築主事の資格が無い落合市長が建築基準法による確認済証交付者となっており手続的にも違法性があります。



東側(Bゾーン)樹林帯の開発はその必要性が低く、とりあえず見送るべきです。

 開発は廃墟となったプール跡地の範囲だけでも十分可能です。平塚駅北口ロータリー広場と同じくらいの広さがあります。とりあえずプール跡地の範囲だけ整備して(第1期工事)開園し、利用者が多くて駐車場が足りないようなら、それから東側樹林帯を活用して駐車場を設けることにしても遅すぎることはないでしょう。始めから数億円という税金を使って広大な駐車場をつくっても、十分に使われずに終わってしまう可能性もあります。東側樹林帯の駐車場整備は、提案する事業者側は何の責任も負わず、全て市の税金で建設され事業リスクも平塚市が負うことになりますが、事業者側は駐車場の管理運営を平塚市から委託され、年間数千万円の売り上げから利益を得ることができます。しかしながら平塚市には市の税金で建設した駐車場にもかかわらず、ほとんど利益が還元されない契約となっています。

平塚市/事業者側提案

1.隣接する東側既存の海岸林の70%以上を伐採、造成して駐車場等を建設するため、海岸沿いの住宅地への飛砂、塩害、強風等の影響は確実に増加する。

2.プール跡地だけでなく、東側海岸林も大規模な盛土を含む造成が必要で、海岸砂でない土砂が大型ダンプで約5、000台分投入されることになり、大規模な環境改変が行われることになる。

3.既存プールの解体撤去や、代替案では必要ない大規模な造成工事のため、5億円近い税金が無駄に使われ、また盛土の圧密沈下や地盤改良工事が必要となり工期も相当長くなる。

4.公園としての維持管理対象面積が代替案の約3倍もあるため、その分平塚市が負担する特定公園施設に対する年間の維持管理費も多く必要となる。

5.公園整備費全体に対する事業者側の投資比率が1~2割程度で、民間資金の活用を目的としたPFI事業といっても、そのほとんどは公的税金で賄われる構図である。

6.駐車場等の公園敷地への車両の出入口が3箇所あり、しかもその内の2箇所は交通量の多い134号線の信号も無い位置にあり、極めて危険で不適切である。

7.広大な舗装された屋外駐車場の建設により、美しい海岸林により形成された歴史ある湘南海岸公園の景観は大いに毀損するだけでなく、騒音その他の問題など多々発生する可能性がある。

8.SDGsなど、環境を保全した開発方針に反し、いたずらに開発面積を拡大した案で事業採算性も低く、海水浴もできない浸食が進む海岸では将来的には使われなくなる可能性が高い。

9.イベントプレイスより東側部分の整備は100%平塚市等公費の負担だが、無くても全く支障は無く6億円近く削減できる。案内所や津波避難施設はマルシェ棟に集約した方が利便性は高い。

平塚市/設置等予定者候補事業者側提案の縮小案

1.東側に隣接する県有海岸林の範囲は公園として拡張整備する必要性はないので、公園の整備範囲は既存の龍城ヶ丘プール跡地に限定し、隣接する県の海岸林はそのまま保存して問題は無い。

2.東側樹林帯に整備提案の部分は平塚市が全額負担する特定公園施設なので、中止すれば平塚市負担分となる約6億円の整備費を削減できる。そしてその後の維持管理費も大幅に削減できる。

3.平塚市が、この不要な東側樹林帯の開発にこだわるのは、国からの助成金を得るために最低整備予算10億円以上とすることと、PFIの特例により建築面積の緩和を得るため。

4.実態としては、プール跡地だけの整備でもこの計画案に基づき積算すれば10億円以上となる可能性は高く、東側樹林帯は伐採して開発しなくても一体的な敷地と見做すことは可能。

5.しかしながらプール跡地に限定した案としても、大規模な造成工事や景観を損なう屋外駐車場、危険な駐車場出入口、台風や高潮の被害を受けやすい建物配置などの問題がある計画案だ。

市民側提案の代替案

1.公園の整備範囲は既存の龍城ヶ丘プール跡地の範囲に限定し、隣接する県の海岸林は、そのまま保存し次世代に継承するため、住宅地に対する影響は現状より改善される。

2.約120台分の駐車場は、既存プール跡地の凹地を利用して建設されるため、環境に大きな影響がある無駄な造成工事は不要となり、工事費も削減できる。

3.3億円近い既存プールの解体撤去費用も低減でき、盛土を行った場合に必要となる地盤改良や杭基礎も不要となり、工期だけでなく建設費も削減できる。

4.既存の龍城ヶ丘プール跡地に整備範囲を限定したにもかかわらず、事業者側提案より広い芝生広場や、多数のキッチンカーも置ける134号線に面した屋外イベント広場が確保できる。

5.基準法上の地下駐車場屋上の広場は134号線や海側遊歩道と同レベルにあり、段差無く使いやすくなるため土地の価値を高めるだけでなく、完全なバリアフリーを実現できる。

6.地下形式の駐車場は、神奈川県により湘南海岸公園に建設された公共駐車場の多くで用いられた環境や景観に配慮された形式であり、建設費も対象面積が広く大規模な土木造成工事が必要な事業者側提案の計画案に比べて、全体的に見れば高いということなはい。

7.大きな津波に対しては、海岸に面した敷地の地下駐車場であっても、駐車場出入口の床レベルは海抜約9mあり、また屋内床レベルでも海抜約5mあるので、湘南海岸公園内の駐車場で最も安全な駐車場となる。須賀港漁港駐車場や、茅ヶ崎サザンビーチに隣接したビルの駐車場より地盤レベルが高く、また高潮などに対しても、事業者側が提案する屋外駐車場より安全である。

8.津波避難施設を兼ねた展望テラスは一体的な建物内にあり、避難に時間がかからず利便性も高い。

9.敷地への車両の出入口は八間通り入口交差点に設けられており、信号で交通がコントロールされているため安全であるだけでなく渋滞も少なく、左折だけでなく上り方面へ右折も可能である。大磯方面から交差点で右折して進入する車のための右折レーンも、既存の中央分離帯を改修すれば5台分は確保できる。ちなみに茅ヶ崎方面からの交差点右折レーンは八間通り入口交差点も袖ヶ浜交差点もいずれも4台分である。

10.事業者側提案より維持管理の対象となる公園面積が大幅に小さいため、平塚市が負担する特定公園施設に対する維持管理費も、事業者側提案よりもさらに削減できる。


市民側提案による代替案の駐車場は、津波や高潮等に対してより安全です。

 提案された駐車場に関する津波等からの安全性について、134号線より海側にある既存の駐車場と比較してみましょう。市民側提案による代替案(下図一番左側)の駐車場出入口は最も高い位置にあり、駐車場の床レベルもひらつかタマ三郎漁港駐車場より高い位置にあります。一般的に建物の地下部分は地下水等の侵入を防ぐために完全防水されていますから、出入口等の地上部にある開口部からしか水は侵入しません。さらに出入口開口部に広く普及していてメンテナンスも容易な止水板を設ければ、数千年に一度あるかないかというL2クラスの巨大津波に対しても駐車場への水の浸入を防ぐことができます。また、市民側提案による代替案の駐車場は屋内にありますから、海岸の強風、飛砂、高潮、塩害だけでなく、夏場の強烈な日射からも、安全で管理された空間で車を守ってくれます。

茅ヶ崎サザンビーチヒルズの駐車場出入口。

砂浜と134号線の間の坂道の途中、海抜約7.5mの位置にある。駐車場は134号線側から見ると地下1階・2階だが、建築基準法上は出入口があるレベルが1階駐車場で、そこから屋内スロープで降りたレベルに地下1階の駐車場があり2層の屋内駐車場となっている

。坂道に面するためか、出入口に津波対策のための防潮板等は設けられていない。

茅ヶ崎サザンビーチヒルズ地下駐車場

左側が地上階へ上がるスロープ

鵠沼海岸の湘南海岸公園内にある、神奈川県が整備した地下形式の西部駐車場。


 平塚市議会で府川正明議員が龍城ヶ丘プール跡地の提案を取り上げて、「津波の被害があるところに地下駐車場などを設けるという、とんでもない提案があったことに憤慨している」と発言されましたが、提案された駐車場は、もともと海岸の砂丘列の間の堤間凹地の地上の地盤上に計画されたもので、床面の高さが標高約5メートルあり、しかも建設後に地下となっても周囲の地盤は標高8~9メートルあるので、府川正明議員の地元の千石河岸の新港駐車場が標高3~4メートルしかないことから、津波に対してははるかに安全です。千石河岸大浜地区新港の駐車場の車が全て流されたり、千石河岸地区の家屋の過半が浸水するような大津波が来ても、提案した駐車場に津波が浸水することはありません。万が一、数千年に一度起こるかもしれない134号線を超えるような大規模な津波が来ても、地下駐車場から階段で直上の建物の屋上に簡単に避難でき、2000人程度は収容可能です。

 また、計画された駐車場は、134号線側からだけでなく海側からも全く見えなくなるので、景観への影響はほとんどないでしょう。とにかく市が進めようとしている、ダンプトラックで5000台分近くなるプール跡地の凹地への土砂の投入という無駄な埋め立て工事は止めるべきです。



湘南海岸公園龍城ヶ丘ゾーン整備・管理運営事業に係る設置等予定者からの提案に関する公開質問

 

1.造成工事による設計地盤面の高さはT.P.8mか、あるいは提案図面にみるように134号線と同レベルの約9mか。9mであれば、その増加分に対する追加予算はどの程度か。もし造成後の地盤面を8mとするのであれば、134号線との1m以上の段差はどのように解消するのか。

→代替案であれば造成工事は必要なく、駐車場屋上の人口地盤面による広場は、134号線と段差の無い同一レベルとなり、使いやすく価値の高い完全なバリアフリーが実現できる。

 

2.計画案では全面的に盛土が行われるようであるが、大型ダンプトラック5,000台以上とも見積もられる大量の土砂はどこからどのように調達するつもりなのか。海岸の自然砂丘に山からの土砂や不純な産業廃棄物が混入しているような土砂を入れてしまえば、大規模で将来的にも影響を残す環境汚染にならないか。山土ではウミガメは卵を産めない。

→代替案であれば、盛土による造成工事の必要は無く、その分の工事費約3.5億円は公園施設の整備費に回すことが出来る。既存の地形を保存することとなり景観面も含めて環境を保全し将来に引き継ぐことが出来る。

 

3.大量の盛り土を行った地盤は、長期的に沈降が進んで、不同沈下による建物の被害や舗装面の亀裂や不陸の発生、高潮や風雨による地盤浸食の被害が発生する可能性が高い。盛土の圧密沈下には相当な期間が必要だが、土木造成工事にはどの程度の工期を見込んでいるのか。また被害発生を抑制するためにどのような対策を考えているのか。

→代替案であれば、被害発生の要因となる無駄な盛土が無い。全ての施設が本来の支持地盤に支持された一体的なコンクリート構造物の上にあるので、不同沈下も高潮や風雨による地盤浸食の影響は全く無い。

 

4.芝生の丘の最高地点レベルはいくつか。車椅子スロープがあるように見えるが、エントランス棟屋上のサンセットテラスまで車椅子でアクセスできるのか。芝生の丘は盛土で構築されるのか。

 

5.ビーチパークに建設中の津波避難施設をみると、軽量な鉄骨造であるにもかかわらず7m以上の深い杭基礎が必要だ。今回提案された主要な3つの建物は、地盤がきわめて軟弱な盛土の地盤上に建てられることから、相当に深い多数の杭基礎が必要だと思われるが、そのような地盤に日常的に不特定多数の人々が利用する建物を建てて地震等にも安全なのか。建設費が大幅に増加する可能性があるが、どのように対処する予定か。市民活動センターのように、工事中に地盤改良や基礎工事費増加のために、建設費がアップするようなことは無いか。20年後に建物を撤去する際には、杭基礎も完全に解体撤去されるのか。

(ちなみにビーチパーク内にある鉄筋コンクリートのビーチハウスは2階建てで、2階の集会室には着席でも約50名、立席なら100名以上が収容可能である。施設の運用面を改善すれば新たに隣接して津波避難施設を2億円近い市税を投入して建設しなくても、既存のビーチハウスで十分対応可能である。なぜ市長の政策公約を実現するためだけに貴重な市の血税を使って無駄な津波避難施設を建設するのか)

→代替案であれば、地盤改良も杭基礎も必要なく、支持地盤に直接べた基礎で確実に支持されるため、不同沈下の発生も無く耐震性は最大限に高く、安全で無駄が無い。そして20年後に撤去する必要も無い。

 

6.既存プール構造物の解体撤去予算はいくらか。またどの程度の工期を見込んでいるのか。また、廃材の処理はどうなるのか。既存プールの解体対象面は約5,000㎡であり、そのコンクリートボリュームは約800立方メートルと積算されている。ちなみに市内の大久保公園「ひょうたんプール」の解体工事費予算は288㎡で1,750万円、すなわち6万円/㎡とされている。これが平塚市の基準単価だとすると、龍城ヶ丘既存プールの解体工事費は6万円×5,000㎡=3億382万円となるが、それでよろしいか。

→代替案であれば、既存プールを解体したコンクリートは、その場で粉砕して基礎を構成する砕石として使用でき、解体処分費用の節減が出来る。

 

7.エントランス棟の建設費は100%平塚市の負担か。その主な用途は24時間営業のコンビニ、案内所、海岸利用者のためのシャワー、トイレということか。24時間営業ということであれば、東駐車場も24時間営業か。

→代替案でも同様の施設整備はプール跡地内で可能である。

 

8.エントランス棟脇の通路は車両も通行するのか。ゲートのようなものが設けられているが、公園内への入場制限を行うのか。その際、入場料を徴収するのか。

→代替案では、公園施設は市民に開放されており、入場制限や入場料の徴収対象は無い

 

9.大型バス等大型車両の駐車場が無いが、どのように対応するのか。

→代替案であれば、6台分以上の大型バス等の専用駐車場が設けられている。

 

10.マルシェ棟は鉄骨造か。カフェ棟は鉄骨造か。両方とも20年後は解体して更地にすることになるのか。

→代替案であれば、耐久性の高い鉄筋コンクリート造が予定されており、50年以上使用することが出来る。

 

11.提案されている建物は、鉄骨プレハブ造に準じた構造の建物のようですが、湘南海岸公園内の施設として、県の構造基準に適合しているか。

 

12.マルシェ棟は地元市内の業者等にテナント貸しする予定はあるか。その場合のテナント賃貸料金はどの程度を予定しているのか。地元業者への平塚市あるいは運営業者からの優遇策はあるのか。

 

13.西駐車場の134号線出入口には信号を設けるのか。信号が無いとすればどのように車の出入りの安全を確保するのか。なぜ信号のある八間通りとの交差点に駐車場への出入口を設けないで、交通量も多く高速で車両が通行している134号線に信号も無い位置に出入口を設けるのか。

→代替案であれば、駐車場への車両の出切り口は信号のある八間通りとの交差点のみ1箇所で、出入りは信号でコントロールされ安全性が確保できるだけで無く、下り方面だけでなく上り方面へも左折右折可能である。また134号線の道路改良箇所が事業者側提案の3箇所で無く1箇所だけなので事業費が削減できる。

 

14.東駐車場、西駐車場とも有料か、その場合の料金設定はどの程度か。平面図を見ると料金徴収施設や管理員詰所などの記載が無いが、どのような管理を計画しているのか。また公園内の照明はどのように計画しているのか。

 

15.駐車台数を120台とした根拠は何か。敷地内駐車場等の雨水排水はどの程度想定しているのか。また雨水はどのように処理するのか。貯水槽は設けるのか。

→代替案であれば、そもそも開発範囲と面積が既存プール跡地だけなので、雨水等の対応範囲もずっと小さい。

 

16.スポーツフィールドの用途は何か。使用は有料となるのか。その場合フェンスで入場を制限されるのか。観覧席は設けないのか。

 

17.既存の歩道橋は塗り替えや補修も行われておらず、塩害で錆びてボロボロであるが、このまま使用を続けるのか。

 

18.施設の案内広告板を134号線側に設けることになっているが、その位置と大きさはどの程度か。

 

19.平面図にて残置されているように見える樹林帯の面積は、既存樹林帯のうちの約30%であるが、造成工事に伴い実際にはどの程度残置されるのか。新たに植樹される樹木の種類とその大きさは。残置される樹林地と新たに造成される駐車場等との境界はどの程度の段差が有り、その処理はどうするのか。

人工的な砂防柵は設置されるのか。134号線に対する飛砂の影響は増大しないか。また隣接する市街地の住宅や財産に対して飛砂、塩害、風雨の影響を増大しないという科学的検証はなされているか。

→代替案であれば、そもそも既存の樹林帯はそのまま100%残すので、現状は維持される。さらにプール跡地に整備される広場にも植林を行うことにより、現状よりずっと飛砂、塩害、風雨の影響は軽減が見込まれる。

 

20.既存の海岸林の伐採により、近隣住民の財産に飛砂、塩害、防風などによる被害が増加して財産権を毀損した場合は、どのように補償あるいは対応するのか。

 

21.今回のこの公園施設の使用者は、どのような人たちを対象としているのか。134号線を通過する一般車両、平塚市外からの来場者、平塚市民、近隣住民の割合はどのように想定しているのか。

 

22.それぞれの施設の来場者数予測を示してほしい。

 

23.事業の採算性がわかる収益計算書を示してほしい。

→代替案であれば、維持管理の対象となる公園施設の面積が事業者側提案より大幅に小さいので、その費用も少なく事業の採算性はより良い。

 

24.事業者側がその建設費を負担する施設は、マルシェ棟とカフェ棟の2棟のみか。その他、全体の造成工事、樹木の伐採と伐根工事とその廃棄処分、舗装等の工事費、駐車場その他公園施設の整備は基本的には全て特定公園施設として市の負担か。その際、項目別の整備費はどのように見積もっているのか。

 

25.民間資金の活用を目論んだPFI事業であるが、今回の提案では民間事業者の負担は規模の小さいマルシェ棟とカフェ棟の建物の建設のみであり、2億円も要しない程度の小規模な負担分である。それに比較して平塚市の負担は国からの補助金を得られる条件を満たすため最低でも10億円が設定されており、事業者側の負担とはならない今回の工事請負業者となる事業者側からの提案をそのまま実現しようとすると、10億円という予定金額を大幅に超えて20億円程度まで膨らむ可能性もある。単に事業者側からの市の予算設定を超えた提案を、それにより収益を得る事業者側に発注するために整備事業を行うと言うことにならないか。そうであれば利益相反行為として、市民の利益を大きく毀損することにならないか。

 

26.特定公園施設として提案されている施設は、今回の事業計画に基づき積算され、市の基準に基づき予定価格が算出されているか。まだであれば、これから予定価格を積算算出することになるのか。その項目別の予定金額が市の当初の目論見金額である10億円を超えた場合はどうするのか。

 

27.優先交渉権者が選定されたわけであるが、今後において実際の工事発注は地方自治法に基づく入札の手続は行われないのか。平塚市が算出した予定金額で、今回選定された業者に特命発注されるのか。

 

28.計画内容の変更に伴う設計、積算、及び各種申請の経費はだれがどのように負担するのか。工事契約後の計画及び工事内容の変更はどのようになるのか。

 

29.公園内の施設に対する、風雨、高潮、津波等の被害に対する対応は、どのように責任と負担を分けるのか。事業者側提案施設だけでなく、特定公園施設に関しても、今回選定された企業に特命随意契約で工事が発注されるのか。

 

30.県が管理する湘南海岸公園内では、今までの長い歴史の中で「おしゃれカフェ」的な飲食や物販施設の建設が許可されたことはないと理解しているが、今回はどのような理由と制度によりそのような施設の建設が可能と考えているのか。湘南海岸公園内に立地している「おしゃれカフェ」は片瀬海岸のイタリアンレストラン「イルキャンティ・ビーチェ」1件のみであり、その他は全て公園区域外の市街化区域内に立地している。落合市長は記者発表の中で、「公園の中には、以前から民間事業者が公園利用者のためにレストランやカフェ等の施設を設置することが可能であり、本提案もそれらをベースとしたものとなっています」と発言しているが、「イルキャンティ・ビーチェ」は、区域区分(いわゆる都市計画法上の線引き)が設定される以前から営業していた既得権が存続しているために公園内での営業が可能であるものと思われる、今回の龍城ヶ丘プール跡地周辺の開発は、100年以上守られてきた湘南海岸公園の不文律ともなっている法令や方針を初めて破る内容である。果たして県は、平塚市の専用既得権が存在するプール跡地以外の県有地の開発を許可するのか。もし計画が進んだ段階で県の許可が得られない場合は、だれが損害を負担するのか。

 


湘南海岸公園龍城ヶ丘ゾーン整備・管理運営事業 市民意見公募に対しての公開質問

 

コンセプト“Beach Life Base Hiratsuka”は積水ハウスの道の駅関連事業のコンセプト“Trip Base 道の駅プロジェクト”をもじったもので平塚オリジナルを感じられません。民間資金の活用をうたったPFI事業と言いながら、平塚市の負担分があまりに多く、一方で収益のほとんどは民間事業者の取り分となる計画です。なぜ市税を投じて民間企業の事業戦略に肩入れしなければならないのでしょうか。これではまるで平塚はハウスメーカーの営業戦略に荷担した「貢ぐ君」になった感があります。

 

エントランス棟のGL(地盤面高さ)を9.0mとしていますが、メインエントランスから入った車寄せエリアと東駐車場エリアの地盤面高さは8.2m前後です。レベル差があればバリアフリーにはなりません。どのようにレベル差を解消するのでしょうか。

 

上り方向の右折車線からメインエントランスに車が入れないようになっています。また右折しても入口が2箇所有りどちらに入ったら良いのか混乱します。出入口は1箇所にすべきでは無いですか。

 

下り方向の車が東駐車場へ入る際に減速すると、後続車を減速させることになり渋滞を引き落としたり事故を誘発する可能性もあります。バス停からメインエントランスの間に左折車線を設けるなど安全対策が必要では内でしょうか。また東駐車場の駐車場待機レーンは、駐車場が満車の際に待ち待機する場所として設けたと思いますが、不要ではないでしょうか。

 

エントランス棟の近くのバス乗降場は、大型バスの停車場所ということでしょうか。そうすると要求されている大型車輌の駐車場が設けられていないと言うことになります。

 

東駐車場の分離帯には樹木が配置されていますが、これらは敷地造成の段階で一旦伐採された後に植樹される樹木だと思われます。樹種と樹高、植栽密度や本数をお知らせください。

 

東駐車場舗装面と既存樹林保存エリアの地盤面の間には1メートル前後のレベル差が生じる可能性があります。このレベル差はどのように処理する計画でしょうか。134号線と樹林地との間のコンクリート擁壁のようになるのでしょうか。勾配のある土砂擁壁とすると境界から何メートル程度、既存樹林を伐採することになるのでしょうか。

 

エントランス棟は建築面積が330平方メートルとありますが、ひらつかビーチパークに建設中の津波避難展望台は壁も無い鉄骨フレームの簡易な構造物で60平方メートルなのに、平塚市の設計金額は2億3,624万円です。エントランス棟は、壁も内装も設備もある工事費も鉄骨より高い鉄筋コンクリート造ですから、この建物だけでも平塚市の設計単価をかけると10億円以上になります。予算の積算根拠はどうなっているのでしょうか。

 

エントランス棟は24時間営業されると深夜にバイク愛好家などの溜まり場となり騒音や風紀上の問題とあります。夜間に海岸を使用する人は現状ではいないので、深夜だけで無く夜間営業はしないでいただきたい。

 

エントランス棟の屋上に、ネオンサインのような形状で「BEACH LIFE BASE」という大きな看板がありますが、夜間に発光するようであれば止めていただきたい。

 

駐車場や車寄せ部分の夜間の場内照明は止めていただきたい。安全のためであれば、時間を限定して足元灯のみ点灯するようにしていただきたい。

 

夜間はウミガメその他の野生生物保護の観点からも照明を全て消すなどしていただきたい。

 

芝生の丘スロープは勾配が5%で長さが66メートルとあります。バリアフリー法の「建築物移動等円滑化誘導基準」では屋外の場合のスロープは1/15以下の勾配が求められているので、5%は1/20で基準には適合していますが66メートルの長さを自力で上るのは身障者には困難です。エントランス棟の建物内に車イス対応のリフトを設けるべきではないでしょうか。

 

芝生の丘北側はビーチライフプロムナードに面して高さ3メートル以上のコンクリート擁壁が設けられるように見えます。盛土の上にそのような大きな構造物を設けて大丈夫なのでしょうか。建設工事費もお知らせください。

 

芝生の丘は大量の土砂を積み上げて丘をつくる計画のようですが、どこからどの様な種類の土砂を調達してここに人工の丘をつくるのでしょうか。その土砂量と概算工事費を明示してください。

 

芝生の丘に張る芝は、常時灌水しないとすぐ枯れてしまうと思います。芝生の種類をお知らせください。また、どのように芝生と盛土をメンテナンスするのでしょうか。

 

イベントプレイスやビーチライフプロムナードの舗装の仕様をお教えください。またその設計地盤高をお知らせください。

 

マルシェ棟まで東駐車場の一番離れた駐車スペースからは約250メートルあります。駐車場と施設の距離がこれだけ離れてしまうと、風雨がある場合だけで無く好天時も遠すぎて不便です。

 

イベントプレイスは国道134号線からは全く見えない位置に有り、賑わいも感じられません。国道を通る車の人たちにもアピールすべきではないでしょうか。

 

BBQが出来る屋外テラスは有料のレストランとして運営するようですが、場所代を取り食材を販売しBBQ機材をレンタルすると言うことでしょうか。サービスの提供料はどのように設定していますか。

 

BBQレストランの脇には不細工にも大型コンテナが置かれていますが、これは何に使われるのでしょうか。常時設置工作物として許されるものなのでしょうか。

 

スポーツフィールドも有料のようですが、どのように管理し施設の利用料を設定していますか。

 

スポーツフィールドは舗装面が周囲より低いように見えますが、その理由と設計地盤高さをお知らせください。

 

マルシェ棟は基本的にテナント仕様ですか、それとも公園管理者の直営ですか。テナント貸しであればその料金をお知らせください。

 

西駐車場の舗装面の高さは、平塚市は8メートル以上と表明していますが、その高さでは国道134号線との間で大きな段差を生じてしまいます。今回計画の設計高さをお知らせください。また段差を生じた場合はどのように解消するのかお知らせください。

 

駐車場やスポーツフィールドなどの最大雨水量の設定および雨水排水計画をお知らせください。

 

道の駅事業への参入を期待していた積水ハウスとしては、規模が1,000平方メートル以下の提案となり期待通りとはならなかったのではないかと思案しますが、1,000平方メートル以下であればプール跡地の範囲だけでも成り立つ計画です。1,000平方メートル以下の提案と言うことは、プール跡地に限定することを見込んでと言うことでしょうか。

 

マルシェ棟、カフェ棟、BBQレストラン、スポーツフィールドだけが公募対象公園施設施設ということでしょうか。それぞれの財産区分はどうなっているか明示してください。例えば、BBQレストランの舗装、コンテナ倉庫、建物の杭基礎、照明や給排水設備配管など。

 

平塚市は、盛土造成に関して8.0メートル以上としていますが、提案された設計の結果8.0メートルを超えた部分に関しては、どちらがその費用を負担するのでしょうか。

 

事業者側の提案では、特定公園施設の建設に要する費用は10億円、その内平塚市に負担を求める額は9億円となっていますが、計画案に沿って設計した結果10億円を超えた場合、その分の金額は事業者側が負担し平塚市に負担金の増額を求めないと理解してよろしいでしょうか。またたとえ事業者側が超過した金額を負担した場合でも特定公園施設の財産権は平塚市にあると考えてよろしいでしょうか。

 

特定公園施設の設計内容は、公共工事の標準仕様ならびに神奈川県の公園施設の基準に沿った内容として、神奈川県および平塚市の監修と承認を受けると理解してよろしいでしょうか。

 

基本設計図書、実施設計図書、積算資料、各種見積書、各種契約書、打合せ記録、工事記録および報告書、監理報告書、各種調査記録等は公文書として神奈川県および平塚市に保存され、市民の閲覧可能な対象となると理解してよろしいでしょうか。

 

暴風雨や高波、高潮、津波等による被害が発生した場合、それぞれの財産区分に応じて、誰がどのように修繕あるいは補償するのでしょうか。